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腫瘍科

ペットの高齢化により腫瘍疾病を扱うことが多くなってきています。
浅葉動物病院では腫瘍科で研鑽を積んだ認定医が腫瘍の診療を行っています。しこりがどういった性質のものであるかも早くわかり、かかりつけ医から専門的な治療が受けられるので、動物たちにも負担が少なく安心です。

しこりを見つけたら

しこりを見つけたら

しこりを見つけると、すぐに「ガンかもしれない」と思ってしまう飼い主様もおられますが、実は「しこり=腫瘍」ではないことも多いのです。

中には、生えかけた毛が皮膚から出てくることができず、しこりのようになっている場合もあります。

たとえしこりが腫瘍であっても、外傷によって皮膚が炎症を起こしているだけということもよくあります。万が一腫瘍が悪性であっても、早期に発見した場合、その部分だけを切除するだけで完治することも珍しくありません。

スキンシップの最中に「なんだかいつもと違う」と感じたら、ご安心のためにもぜひ早めにご来院ください。

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スキンシップが大切

体内にできた腫瘍は別ですが、体表にできたものはスキンシップでみつけることが可能です。
毎週1回程度でも、まんべんなく手のひら全体で触れていると、なにか異常があった時に気付くことができます。「大丈夫かな?」としつこく触るより、継続的にスキンシップをとって違いをみていく方が発見しやすいもの。ぜひしっかりスキンシップをとってあげてください。

腫瘍科の診療について

腫瘍科担当医・浅葉慎介プロフィール
2004年4月~麻布大学附属動物病院腫瘍科 レジデント
2006年3月獣医腫瘍科2種認定医取得
2008年10月~麻布大学附属動物病院腫瘍科 チーフレジデント
2009年7月~日本獣医がん学会評議員

学会・研究会発表

高エネルギーX線・低分割・多門照射により
腫瘍の縮小と良好なQOLが得られた切除不能前縦隔部肉腫の犬の1例
                      (第26回動物臨床医学会年次大会)

対症的な切除とピロキシカムの投与により
長期間生存している扁桃の扁平上皮癌と口角のメラノーマを併発した犬の1例
                      (第26回動物臨床医学会年次大会)

犬の胸腺腫の治療例(第24回日本獣医がん研究会)

放射線治療を行った犬の下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の一例
                      (第26回日本獣医がん研究会)

左上顎および右下顎に同時発生した扁平上皮癌の犬の1例
                      (第28回日本獣医がん研究会)

播種性組織球肉腫の犬2例 (第10回信朋会)
猫のリンパ腫 (第11回信朋会)

出版物

抜歯後急速増大のみられた口腔内扁平上皮癌(多発)に対して
緩和的上顎骨部分切除および放射線治療により良好なQOLを維持している犬の1例
      (JOURNAL OF MODERAN VETERINARY MEDICINE NO.107)

播種性組織球肉腫の犬の1例
      (JOURNAL OF MODERAN VETERINARY MEDICINE NO.114)

翻訳

「小動物臨床腫瘍学の実際」(原書「Small Animal Clinical Oncology」)文永堂

腫瘍科担当医からのメッセージ

代々、この地で獣医を続けていた家に生まれて、幼いころから動物好きだったこともあり、自然に獣医への道に進みました。

大学在学中に、実家のこの院でも腫瘍疾病を多く診るようになってきたことに気付き、かかりつけ医で腫瘍の専門的な治療ができれば、動物たちへの負担が少なく、飼い主様にもご安心していただけると考え、獣医師となってから改めて腫瘍を専門に研鑽を積んできました。

腫瘍にはさまざまな種類があり、それぞれに治療方法があります。専門的に腫瘍をしっかりと診断して、可能な治療方法についてメリットやデメリットをくわしくご説明します。飼い主様のお考えにそって、体質や個性にあった最善の方法を選んで治療すること、それが当院の治療方針です。

代表的な腫瘍疾病について

代表的な腫瘍疾病について

乳腺腫瘍(犬・猫)
メスに多い腫瘍のひとつです。早期発見のためにも飼い主さんはしこりが無いか普段からチェックしてあげてください。

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肥満細胞腫(犬)
犬の皮膚悪性腫瘍の中で最も遭遇することの多い悪性腫瘍です。好発犬種は日本ではゴールデンやラブラドール、バグなどに発生が多く、またこれらの犬種では多発する傾向にあります。

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リンパ腫(犬)
リンパ腫とは白血球の1種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍性疾患です。

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腫瘍科の診療について

腫瘍疾患の診断は進行度の評価に伴い、T(局所)、N(領域リンパ節)、M(遠隔転移)のカテゴリーに分けて診断していきます。
T(局所)カテゴリー

これは腫瘤病変局所の状態評価です。
腫瘤の大きさ、増大速度、底部への固着の状態、自壊出血の有無などを触診・視診・問診によって調べます。また、レントゲン検査やエコー検査によって腫瘤内部の構造や血管分布、底部の骨などへの浸潤を調べます。

腫瘤内部の細胞を採取する細胞診検査では細胞の種類や形態を見ることにより、その腫瘤が炎症病変なのか腫瘍性病変なのか、また腫瘍であれば悪性所見は見られ るのか、大まかに調べることが可能です。さらにコア生検と呼ばれる内部の組織を一部採取する検査により病理組織検査が可能です。


 
N(領域リンパ節)カテゴリー

リンパ節とは血管を流れる血液のフィルターであると考えてください。

腫瘤病変が悪性であった場合、腫瘍細胞が腫瘤内から血管へ浸潤し血行を介した遠隔転移が起こります。このため、腫瘤に一番近い領域リンパ節フィルターに腫瘍細胞が捉えられて最初の転移病巣が形成されることが多いのです。

体表や体腔内のリンパ節に対し触診やレントゲン、エコーによって異常を調べ、細胞診検査や病理検査で転移病巣の有無を確認します。

(※写真:腺癌の下顎リンパ節転位)


 
M(遠隔転移)カテゴリー

領域リンパ節を超えて全身に腫瘍細胞が浸潤を起こすと遠隔転移となります。

通常多いのが肺への転移です。これは、酸素交換を行うために最終的に全身の血液が集まるのが肺だからです。 ただし、中には肺には転移せず、肝臓や脾臓への転移といった特殊な経路での転移もあります。
レントゲン検査やエコー検査によってそれら遠隔転移を疑う病変の有無を調べます。

(※写真:乳腺癌の肺転位)

S(全身状態)カテゴリー
腫瘍のTNM評価とともに全身状態をチェックします。
いくら腫瘍の病態が判明しても高齢やその他疾病によって全身状態が悪ければ治療が行えません。血液検査等により治療が可能な全身状態か判断します。

乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍は統計的に良性:悪性比率は50%:50%です。
つまり、乳腺にしこりを見つけたら悪性腫瘍である確立は50%ということです。さらにその悪性の中でも半分(全体の25%)は比較的転移を起こしづらい比 較的おとなしいタイプであり、残りの半分(全体の25%)が転移しやすい攻撃的なタイプです。良性の50%と悪性の中でも比較的おとなしい25%のあわせて75%のものであれば手術により根治の可能性の高い腫瘍です。このため、犬の乳腺腫瘍は適切な進行度の評価を行い、確実な外科切除を実施する事が重要です。



また、それ以前に避妊手術による予防が可能なのも犬の乳腺腫瘍の特徴です。
乳腺腫瘍発生リスク
初回発情前に避妊手術:0.05%
1回目の発情後避妊手術:8%
2回目以降の発情後避妊手術:26%
このように早期に避妊手術をする事により発生リスクを抑える事が可能です。
猫の乳腺腫瘍
猫の乳腺腫瘍は犬とは異なりその90%以上が悪性の乳癌であり、その挙動も攻撃的です。
つまり、猫の乳腺にしこりを見つけたら癌の可能性が非常に高く要注意ということです。
予後は腫瘍の大きさ、リンパ節浸潤の有無、初回手術の範囲によって左右されます。
このため、猫の乳腺腫瘍は早期に発見診断し、早期に適切な拡大切除を行う事が重要です。



肥満細胞腫

犬の肥満細胞腫

犬の体表にできる悪性腫瘍でもっとも多いのがこの肥満細胞腫です。
肥満細胞というと「うちの子は太っているから・・・」と思われる方が多いのですが、違います。肥満細胞というのはアレルギー反応に関連する細胞で、その細胞質内に炎症を引き起こす顆粒を持った細胞です。
この肥満細胞が腫瘍性に増殖して腫瘤を形成したものが肥満細胞腫です。

このため、肥満細胞から顆粒が放出されると「ダリエ兆候」と呼ばれる腫瘤周囲の急激な炎症が引き起こされたり、全身性のアレルギー反応「アナフィラキシーショック」が引き起こされ、突然死も有り得ます。

しかしながら、大きく分類するとその悪性度は3段階に分ける事ができ(グレード1~3)それぞれ挙動や予後が異なります。また、グレードの低い比較的良型のタイプではいきなり手術ではなくプレドニゾロンというステロイドホルモンに反応して消失するものもあります。

肥満細胞腫の治療に際しては腫瘤の進行度や悪性度など総合判断で外科や内科治療を適切に選択する事が重要です。


 

リンパ腫

犬のリンパ腫
リンパ腫とは白血球の1種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍性疾患です。
体表各所のリンパ節や体腔内リンパ節で増殖が起こり腫脹します。
全身をめぐる血液の細胞である白血球が癌化するため、この疾患は全身性の癌であり、手術によって治療できるものではありません。
その治療の基本は化学療法によって全身性に抗癌剤を投与し腫瘍細胞を限りなく0に近づけるよう抑え込むことです。

犬のリンパ腫は、最近では新Kiel分類という細胞形態や免疫組織学的分類をすることによってリンパ腫の中でも様々なキャラクターがあることが分かってきています。
そのため、一口に抗癌剤治療といってもそれぞれのキャラクターにあわせて、種類や強度などを変更して使用することが重要です。




また、抗癌剤治療というと皆さんやはり副作用を非常に心配されます。
伴侶動物のリンパ腫治療は残念ながら根治目的ではなく緩和目的の治療がメインとなります。
このため、副作用が出るような抗癌剤治療は逆にQOL(クオリティーオブライフ)を悪化させるだけで意味がありません。
上記リンパ腫のキャラクターを踏まえたうえで、抗癌剤の用量を段階的に調節し副作用の出ない範囲で使用します。
仮に副作用が出るようであれば、用量を減じたり投与間隔を延長して対応します。
リンパ腫の治療の基本はより良いQOLでより長く生存期間を延長させる事です。